生態系には,本来多少の撹乱があっても,元のレベル(平衡点)あるいは同じ領域(ドメイン)に留まることができる復元力が備わっています.しかし,近年の生物多様性の消失や生態系の劣化のスピードは,そうしたバランス力を維持できる閾値を超えてしまっています.私たちの研究室では,生態系のバランスの維持機構や崩壊機構を,生物と環境の相互作用の観点から解き明かす研究に取り組んでいます.その学問的基盤となるのが生態学です.生物の個体数,種数,食物網の構造,さらにそれらに関わる物理的・化学的要因が,どのような時間・空間スケールで変化(維持,崩壊)しているかについてのしくみを解明し,予測する研究に挑んでいきます.こうした成果は,学術論文などを通して世界に発信するとともに,生態系や生物多様性の保全・管理のための具体的な提言として広く社会に発信しています.